「まだ大丈夫」はもう遅い!?

タイトルのフレーズは、2025年に中小企業庁が全国7都市で開催したセミナーのテーマとして強調された言葉です。自社事業に少しでも不安や問題を感じている場合、本格的な危機が訪れてからでは手遅れになることを示唆しています。今回のコラムでは、漠然と不安や悩みを抱えている経営者の方が、一人で抱え込まず信頼できる第三者に相談できるきっかけになるような内容をお伝えします。

 

物価高騰、金利上昇時代に備えるセルフチェック

物価高騰や金利上昇が続くなか、イラン情勢の不安定化が資材不足や物価のさらなる上昇を招く懸念も生じています。こうした状況下では、手元の現金・預金をしっかり確保しておく必要があります。さらに、銀行から借り入れがしやすい財務基盤を整えておくことも重要です。以下に、経営者の方からよくお聞きする不安と簡易的なチェック項目をご紹介します。ご自身で当てはまるものがないか確認してみてください。

 

不安① 売上はあがっているのに、手元の現金・預金が減っている

【簡易チェック①】

決算書を2期分並べたときに、貸借対照表の現金・預金が減少している。

 

【簡易チェック②】

最新の決算書の損益計算書の「当期純利益(または当期純損失)」に「減価償却費」を加え、「借入金の年間返済額」を差し引いた金額がマイナスかどうかを確認してください。

 

マイナスなら現金・預金は減少します。プラスなら現金・預金は増えます。

 

不安② 融資の相談に対して金融機関の反応がよくない

【簡易チェック①】

赤字が2期以上続いている。

 

【簡易チェック②】

貸借対照表の資産の部に、回収不能な売掛金や販売できない在庫、役員貸付金などが計上されている。

 

【簡易チェック③】

借入のある金融機関に対して、自社の業況について定期的に説明ができていない。

 

対策の方向性

何も対策を行わなければ今後も物価高騰や金利上昇、人手不足、後継者不在などの問題に直面し続けます。財務基盤を整えておくことは、目先の事業運営だけでなく将来的な事業承継やM&Aなどにおいても非常に重要となってきます。

 

【対策の方向性①】過度な節税から資産構築へのシフト

将来資金が必要になった際に、必要な借入ができるよう利益剰余金や経営者個人の資産を確保しておく必要があります。

 

【対策の方向性②】財務諸表を整える(実態に近づける)

金融機関は、企業から提出された財務諸表をそのまま捉えるのではなく、経営実態にそぐうように修正して企業の財務状況の判断をしています。資産性のない売掛金や在庫などの資産があれば、実態に近い状態にし、第三者が見たときに誠実な企業とみなされるような状態を目指していく必要があります。

 

最後に

非常に簡易的なチェック項目を記載させていただきました。上記以外にも人材の面など様々な課題やお悩みがあるかと思います。一つでも当てはまる場合は、一度ご相談されてみてはいかがでしょうか?ご相談できる方がいらっしゃらない方は、おおた診断士会のホームページの「お問合せ」から、ご相談してみてください。

 

中小企業診断士は、人により得意分野などはありますが企業運営について幅広い範囲をご相談いただけます。東京大田中小企業診断士会には、人的ネットワークもあるため得意な専門家の方を紹介してもらえる可能性もあります。

 

このコラムが、経営者の方のお悩みの解消の一助になりますと幸いです。

 

(倉澤 平)