補助金活用を検討されている経営者必見!生成AIで作成する補助金申請書の落とし穴~AI・人工知能研究会副代表の会員が解説~

補助金の申請は、経営者自身が成長する絶好の機会です。なぜならば、申請書(事業計画)の策定にあたって、自社の現状を見つめ直し、成長戦略を描き、その実行計画を考え抜く過程で、新たな着想や挑戦的なマインドを得ることができるからです。

 

今回は、そんな補助金について、生成AIで作成する申請書(事業計画書)の「落とし穴」を、東京都中小企業診断士協会中央支部公認「AI・人工知能研究会」副代表の筆者が解説します。

 

生成AIで申請書(事業計画書)を作成する問題点はふたつあります。

 

ひとつめは、生成AIでの申請書(事業計画書)の作成が一般的になると似たような申請内容が多くなり、差別化が図れず、採択される可能性が低下する懸念です。

この懸念は、生成AIを活用する士業や経営者が集まるコミュニティでしばしば語られています。

 

しかし、これはふたつめに比べると、たいした問題ではありません。実は、ふたつめの問題点に向き合って取組めば、解決できることでもあります。

 

ふたつめは、仮に採択されても自社の成長に悪影響を及ぼす可能性がある点です。

 

こちらの方が、経営者の皆様にとってより重大です。

それがどういうことなのか、以下詳しく述べます。

 

本来、補助金を申請するプロセスは以下のとおりです。

 

STEP1 自社の「現状」を分析して客観的にとらえる。

STEP2 「現状」にもとづき、数年後を見据えた自社の「あるべき姿」を描く。

STEP3 「現状」と「あるべき姿」との差分を埋めるための成長戦略を策定する。

STEP4 成長戦略に必要な戦術を課題として設定し、事業計画に落とし込む。

STEP5 事業計画にもとづき「あるべき姿」を実現するために補助金を申請する。

 

これを見ていただければわかるとおり、ゴールは「補助金の獲得」ではなく、「補助金を活用して事業を成長させ、自社のあるべき姿を実現すること」です。

 

生成AIで形式ばかり整えた申請書(事業計画書)でも補助金は獲得できるかもしれません。しかし、それでは、経営者として「自社の現状」を見つめ直し、「あるべき姿」を深く考える機会を失います。そればかりか、楽をして事業資金を得たことで、補助金で取得した経営資源の活用に力が入らず、それが従業員にも伝わり、自社の成長に悪影響を与えてしまう可能性すらあります。

 

私は何も生成AIの活用を否定しているわけではありません。

生成AIは、自社だけでは気づきにくい課題を発見するための「壁打ち」、やるべきことの洗い出し、事業計画のブラッシュアップ、記入ミス・漏れのチェックなどのサポートに有効なツールです。そのような目的に対しては、業務効率化の観点から、むしろ、生成AIは積極的に活用すべきです。

 

問題なのは、楽をして補助金が欲しいがために、企業経営における本来の目的を見失うことです。

 

AIと人間との大きな違いは「魂があるか、ないか」だと、私は考えます。生成AIが形式ばかり整えた申請書(事業計画書)に魂はありません。経営者とその支援者が「現状」を客観的に見つめ、「あるべき姿」を徹底的に考え抜いて作成した申請書(事業計画書)にこそ魂が宿り、その魂こそが、補助金獲得の可能性を高め、ひいては自社を成長に導くのです。

 

魂の宿った事業計画書を作成するために経営者の皆様を支援することは、私たち中小企業診断士の役目でもあります。私たちは、それぞれの専門性や経験を活かし、経営者の皆様の課題解決と「あるべき姿」の実現に向けて全力でサポートいたします。是非、お問合せフォームからお気軽にご連絡ください。

 

 

(神本 直樹)