売れない時こそ「お客様に聞け」

― 売上V字回復を生む「現場マーケティング」の基本 ―

「良いものを作っているのに、なぜか売れない」。

そんな悩みを抱える経営者は少なくありません。

広告を出す、価格を下げる、商品を作り直す——。

打ち手はいくつもあるように見えて、実は根本的な原因を見誤っていることが多いのです。

 

結論から言えば、売上の答えはすべて「お客様の中」にあります。

今回は、私が支援してきた企業の事例をもとに、「売れない壁」を突破するための最もシンプルで効果的な方法をお伝えします。

 

 

1. 売上の答えは“お客様”が知っている

 

私が支援したある通信販売企業の社長は、創業期から今日まで、毎月数名の顧客と1on1で直接話をする習慣を続けています。会社の年商が数十億円に成長した今も変わりません。

 

なぜそこまで徹底するのか。それは「お客様の声を聞くことが、最短で正しい答えに辿り着く方法」だからです。

 

広告や価格戦略の前にまず、お客様と向き合う。

売れない理由の大半は、「お客様が本当に求めている価値」と、自社が打ち出している価値がズレていることにあります。

 

 

2. 顧客インタビューで掘り下げるべき“核心”

 

顧客インタビューで最も重要なのは、「お客様は、何を満たしたくてその商品を選んだのか?」を明確にすることです。

 

例えば、ある企業が「膝の動きをスムーズにする」ことを売りにしたサポーターを販売していました。

ところが実際の購入者に話を聞くと、「他のサポーターは肌荒れするけど、これは肌触りが良いから愛用している」という声が多かったのです。

 

つまり本当に刺さっていた価値は、「機能性」ではなく「肌へのやさしさ」でした。

広告の訴求をそのように見直した結果、売上が約1.8倍に伸びました。

 

このように、顧客の「満たしたいこと(=ベネフィット)」を正確に捉えることで、製品開発・広告表現・販売戦略のすべてが的確になります。

 

 

3. 座談会でファンを育てる

 

数名のお客様を集めて行う「座談会」も有効です。

ざっくばらんに話してもらうことで、商品・サービスの強みと課題が一度に見えてきます。

 

座談会のポイントは、話しやすい空気づくりと誘導しない聞き方。

その様子を動画に撮り、SNSやホームページで発信すれば、「この会社はお客様の声を大切にしている」という好印象にもつながります。

 

さらに、参加してくれたお客様のロイヤリティが高まり、リピートや紹介が自然に生まれるという副次効果もあります。

 

 

4. 「売れない」ときこそ、現場に戻る

 

数字を見つめることも大事ですが、机の上で解決策を探しても答えは出ません。

売上を伸ばす一番の近道は、現場に戻って、お客様と対話することです。

 

「売れない時こそ、お客様に会いに行く」。

この基本を徹底できる会社ほど、長く伸び続けます。

 

 

 

(千葉 勇吾)