2022年1月1日より電子帳簿保存法が改正されました。
この改正により、紙で受け取った書類の電子化が緩和された一方で、電子で受け取った書類は電子で保存しなければならないと、一部要件が厳格化されました。
これにより「電子化に対応するために急いでシステムを導入しないといけない」と思う方も、少なくないと思います。そこで、今回はシステムを使わずに電子保存に対応する方法をご紹介します。
ポイント1:訂正削除に関する事務処理規定を定め、その規定に沿って運用すること。
国税庁のホームページに電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規定のサンプルがあります。これをダウンロードし、自社にあつた規定を策定し運用します。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/word/0021006-031_d.docx
ポイント2:ファイル名を変更または、索引簿で管理
電子で受け取ったPDFファイルを保存するときに、ファイル名を「取引先・取引年月日・取引金額」に変更し、容易に検索ができる状態で保存する。または、ファイル名に連番を付け、索引簿で管理する方法。
電子化したデータは、任意のフォルダに保存します。
事務処理規定を定め、ポイント2の方法で管理すれば、タイムスタンプや保管システムを導入しなくても、電帳法に対応できます。ただし、一定以上規模の会社では、この方法で管理するのは難しくシステム導入も検討しなければなりません。
また、2022年1月1日より施行予定でしたが、やむを得ない事情があると税務署長が認める等の場合には、2年間猶予されることになりました。
ここで言う「やむを得ない事情」とは、「その時点までに要件に従って電磁的記録の保存を行うための準備を整えることが困難な事情等が該当する」とされています。
そのため、焦って運用を行わなくても、現時点で直ちに罰則があるわけではありません。
とはいえ、国の方向性としては、「電子化」がベースとなっていくことに間違いありません。
いずれ対応する必要が出てきます。そのため、経理の書類の保管場所を減らしたい・管理コストを削減したい、と言う方にとってはとても良い機会です。
まず、現時点では対応すべき内容、しなくても良い内容を見極めて、自社に即した運用方法を検討してください。
(金城 篤子)