新型コロナウイルスの影響で、売上が落ち込み当面の資金繰りのために融資を受けられている方が大勢いらっしゃると思います。
では、元本据置期間終了後に借入金の返済を行っていくためには、どれだけの売上高が必要になるか把握されていらっしゃいますか。
製造業の皆さんは、顧客、製品により粗利率のバラツキはあるとは存じますが、粗利率、固定費額の前提が定まっていれば、以下の計算式で目標利益を得るためにいくら売上が必要になるか簡単に計算できますので、是非、ご活用ください。
なお、この計算式は、年間でも、月単位でも、日単位でも使えますし、Excelなどのパソコンの表計算ソフトを用いれば、粗利率、固定費の前提条件を変え、ベストケース、平均ケース、ワーストケースなど好きにシミュレーションができるので、きっとお役に立つと思います。
目標利益を得るために必要な売上高の計算式
以下では、この算式を用いた具体例を記載いたします。
◯ラーメン屋さんの例
屋台のラーメン屋を1日営業するとします。分かり易いように、ラーメン1杯は1,000円で販売するものとし、費用は、1杯あたり300円の材料費に加え、屋台のレンタル台が4,000円掛かるものとします。
1日営業して、10,000円儲けるためには、何杯売って、いくら売上高があれば良いでしょうか?
目標利益を得るために必要な売上高の計算式による算出:
1杯 1,000円なので、20杯(20,000円÷1,000円)売れば良いことになります。
では、本当にそうなるのか検証してみましょう!
利益=売上高-費用
=1,000円×20杯-300円×20杯-4,000
=20,000-6,000-4,000
=10,000
となり、確かに20杯売れば10,000円の利益が出ることがわかります。
○製造業の例
それでは、次に、製造業の例を使って、具体的な計算例をご説明いたします。
まず、利益は営業利益ベースすると、固定費は、製造原価に含まれるものと販管費に含まれるものを合算する必要があります。
ここでは、製造原価に含まれる固定費として年間に
製造原価に含まれる固定費:
労務費 :40,000千円
水道光熱費: 1,000千円
減価償却費:15,000千円
販管費に含まれる固定費:
給与 :25,000千円
役員報酬:10,000千円
広告費 : 4,000千円
その他 : 5,000千円
で、合計 100,000千円が掛かっているものとします。
また、粗利は、過去の実績から、30%とします。
ここで、年間に得たい利益これを、20,000千円とすると、この目標利益を得るために必要な売上高は、以下の通り計算出来ます。
これにより、年間 20,000千円の利益を上げるためには、年間 400,000千円の売上
が必要になることがわかります。
仮に今までの実績から既存顧客からは、340,000千円の売上しか期待できないとするならば、新規顧客から、その差分である 60,000千円の売上を上げる必要があることがわかります。
そして仮に、1案件の平均受注金額が 5,000千円とするならば、12案件の獲得が必要であることがわかり、「目指すは毎月1件の新規案件獲得」と具体的な目標に落とし込むことができます。
一方、目標利益は達成したいがこの売上高を確保することが困難である場合は、先の計算式の固定費あるいは変動比率を下げるシミュレーションをすることで、自社がどうすれば目標利益が得られるか方向性を定めることができます。
最後までご覧いただき、有難うございました。本記事内容が貴社のお役に立つことを願っております。